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空想DIYを紹介するページです。


アオドウガネの誘引駆除

アオドウガネがどんな虫かはググっておくれ。親戚筋のドウガネブイブイの方が知られているかもしれない。
近所の公園が芝生を貼って、放置状態にしたものだから、庭木にびっしりやってきて食い荒らすようになった。
そこで誘引捕獲器を作ることにした。
たしか昆虫は青い光に集まるんだよなあ、と適当に青色LEDで作ってみたが、全く効果なし。
やっぱり真面目に考えないとだめである。

昆虫視感度

昆虫視感度を調べた論文を読み漁ると、どうやら紫外線域に多く持っているようで、
例えば蚊だと380nmに視神経が反応するらしい。
しかし、視感度が高い所が誘引性が高いとは限らないそうで、まあ人間でも黄色が好きとは限らない訳である。
一般には昆虫の誘引(走行性)には近紫外線(300〜400nm)が良いらしいが、
アマミアオドウガネで400nmの誘因性が高いとの情報があった。名前が似ているから同じじゃなかろうか。
近紫外線LEDだと370nmより400nmの方が遥かに安いので、これはありがたい。
(400nmは紫外線というより紫だが。)
明るさも重要かもしれない。研究例を色々調べて、光出力0.25W位で作ってみることにした。
LEDは400nmのLED: Vf=3.2 〜 3.4V、If=20mA、Angle=30°、Max120mcd (100〜120)
を使う(比較的安かったので)。


mcdからWへ換算

安物のLEDのスペックはlmではなくcdを単位に使っているものが多い。照明用ではないということだろうか。
研究資料はW単位なので単位換算が必要である。
mcdからWへ換算する。換算にはlmを経由する。
明るさの単位であるlmは人の視感度が基準となっている。400nmの視感度は41.4(lm/W)。
LEDの放射角特性を Lambertian と仮定すると、半値角φ1/2 = arccos(0.5)1/mとなるmと正面光度 I0に対し、
全光束 F [lm] はF = (m + 1)/2π*I0。
放射角=30°(半値角=15°)のとき、m=log (cos(φ1/2))/log(0.5)=log (cos(15°))/log(0.5)=0.05 より、F=1.649*I0[lm]。
正面光度 I0=120mcdのとき F = 1.649*0.12=0.198 [lm]。従って、光出力=0.198/41.4=4.7mW。

回路仕様の目算

0.25W程度を目標とするとして、250/4.7=53個。
雨ざらしなので高電圧は怖い、18V電源とする。定電流化に4V以上必要として、4直列が限界
(4直列で4Vなら1個あたり1V。40℃でVfが0.1V変化するとして30mAまでは増えそうにないので、4Vで十分だろう。)。
以上からLED使用数は12*4=48個とした。
12並列だとコスト、スペース、手間的に定電流化は抵抗のみでないと厳しい。
R=V/I=4/0.02=200Ω。180〜220Ω程度を使用する。
仮に220Ωとしても、20mAになるように電圧を調整するとすると、
P=0.02*0.02*220=0.088[W](=1/11)だから1/8[W]以上でOK、表面実装抵抗1608(0.1W)でもぎりぎり可。
電源はJRC 長野日本無線株式会社の15V/0.7Aスイッチング電源(12-18V可変)を使った。
各段が20〜22mA、全体で240〜267mA。電源容量は0.7Amaxなので問題なし。

作ってみた

400nmなら樹脂でも透過するが、手持ちの太い試験管(ガラス)を使うことにした。試験管の有効内部エリアはφ27mm、180mm程度。
LEDの樹脂部長さ9mm、突起量8mm、φ6mmで、最大外径φ26mmで作るとして配線領域は、9mm*2=18mmを引いて、
8mm(<6mm)だから、平面上に4個並べられ、最小長さはφ6mm×12段=72mm。
仮に100mm長に並べるとして、100/12-6=2.3mmだから間隔2mm程度で並べればよい。
何とか入りそうだ。
9mm、厚み1mmのアルミLアングルに8mm置きにφ6mmの12個の穴を開け、90℃捩じる。
これにLEDをホットボンドで接着し、4直列、3並列で配線し、間をビニールテープで絶縁したアングル同士を
ナイロンタイで引締め固定した。
φ30mm用のゴム足でふたをして、紫外線劣化防止にふたにアルミ箔を巻いた。

結果

完成したものを設置すると、今度は取れる取れる。

ただし、結果的に言えばこの工作は失敗だった。
あまりにコンパクトに作り過ぎたために温度が上がり、ホットボンドが溶けて変形し、短期間でショートしてしまった。
・・・次の年には、あの大発生は何だったのかというくらい減ってしまった。
情熱も失せたので、2号機を作る気はない。



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