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空想DIYを紹介するページです。


石楠花の栽培について

これは素人園芸の記録です。完全に間違った方法かもしれません。

庭の石楠花が秋頃から元気が無くなった。冬には南向きの枝の葉が枯れ始め、年明けには枝まで枯れ始めた。
この文書は、これに対処した経緯の記録からの抜粋である。

pHを下げる

庭の東側には南から北に一列に3本の石楠花が植えてある。目だって元気がなくなったのは真ん中であった。
よく見ると、3本とも元気が無い。これは、根がやられたようだ。
石楠花はつつじ科なので根が浅く乾燥に弱いハズ。冬の乾燥した空気で根がやられたか。
とりあえず表土を覆うバーク堆肥を追加してみる。
またつつじ科は酸性を好むので、pHが上がり過ぎたかもしれない。とりあえず鹿沼土を根のあたりに撒く。
Webで調べると、全部鹿沼土でも酸性として不十分ということが分かった
(鹿沼土はpH5〜6と書かれている事が多いが、測定した記事ではpH7近かったとのこと。
ホームセンターで販売しているものは中和してある可能性あり。)。
バークや肥料(これらを混ぜるとアルカリ性になる)を混ぜたのでは一層足りない可能性がある。
そこでpH測定器を買ってきて、測ってみると6.5であった。
通常の植物に対しては理想的なpHであるが、石楠花に関する限り酸度が足りないどころではなく、アルカリ過ぎる。
やばい。
ということで、pHを下げる方法を調べる。
pH6.5の庭の土をpH5〜5.5とpHを1〜1.5低下させるのが目的である。
pHは水素イオン濃度の対数値の逆数で、pHを1下げるには水素イオン濃度を10倍、
1.5下げるには10^1.5=32倍にしなくてはならない。
つまり、pHを1〜1.5低下させるというのは結構強烈な操作が必要である。
一方、pH調整剤は緩衝能によって効果が変わる。
花崗岩質土壌では良く下がり、沖積土壌は中くらい、火山灰土壌では下がりにくい
(pH1下げるのに、各々2,5,6だけの重量が必要となる)。
対象土壌は、まさ土ベースだから下がりやすいはずである。
土壌のpHを下げる資材には、例えば次のようなものがあるようだ。
サンドセット、硫黄華、アルカリメイト、さなえさん、硫酸、硫酸第一鉄、硫酸アルミニウム、
酸性石膏、過リン酸石灰、塩酸、クエン酸粉末。
土壌のpHを下げる方法を農家に問えば、硫安(硫酸アンモニウム)を撒くという答えが多いだろう。
硫安は即効性の窒素肥料であり、植物がアンモニアを吸収した後に硫酸が残って酸性になる。
元々の日本の土壌は酸性が多いし、稲が酸性を嫌うので、硫安の副作用として
土壌のpHを下げることを知っている人は多い。
しかし硫安は植物のアンモニア吸収に従って酸性になるので、
タイムラグがあってpHが調整し難いし、窒素の濃度障害の可能性もある。
ただ酸性にするだけなら直接硫酸を撒けばよい。しかし、硫酸はすぐに水に流れるため、有効期間が短い。
調べた限りではサンドセットかアルカリメイトが良さそうである。
サンドセットは成長刺激効果もあるニトロフミン酸を成分とするため単なるpH低下以上の効果がありそうである。
ニトロフミン酸の過剰投与は逆に害が出るらしいのでpH低下を無水硫酸と硫黄で補っているようであるが、
それでも極端にpHを下げようとするとニトロフミン酸過剰投与になる可能性があるので、
pH降下量が少ない場合の使用が良さそうである。
一方、アルカリメイトはコンクリート破砕片の混入によりpHが増加した土壌に的を絞った資材なので、
原因がカルシウム塩過多とはっきりしている場合には有効であるが、
カルシウム塩が少ないとリン酸塩が余って不都合を生じる可能性があるので、
単なるpH低下には使用しないほうが良さそうである。
今回はpH6.5の庭の土をpH5〜5.5とpHを1〜1.5低下させるのが目的であるから、サンドセットが適切と思われる。
ということで、結果として「サンドセット」を使用した。3kgを与え、水を掛けるとpH5.5くらいになった。
後で更に下がってくるそうだから、急にこれ以上下げるのはやばいだろう。


鉄欠乏

そうやって毎日気に掛けて見ていると、これまで気付かなかったものが見えてくる。
よく見ると、3本とも葉の色がおかしい。やけに黄色い。
調べてみると、鉄欠乏が起こるとそうなるという。葉脈部だけが緑色が濃いともある。
見てみるとその通りである。
更に「なぜか石楠花でそういう状態になっていて、そんなはずはと思いつつキレート鉄を与えると良くなった」
という記事もあった。
推測(憶測)だが、石楠花は酸性を好むと言うよりは、鉄を多く必要とするのではないか。
言い換えると、3価鉄から鉄を吸収するための手段
(例えばイネ科の植物に見られるムギネ酸類分泌によるキレート戦略や、
他の植物に見られる三価鉄還元酵素による還元戦略)
を持っていないか、あるいは持っていても機能が弱いのではないだろうか。
酸性の土は鉄(2価イオン、酸化第1鉄)を溶かし出す性質があり、
そのような手段を持っていなくても、豊富に2価鉄が得られ、植物が鉄を吸収し易いだろう。
そこで近所を回ってみたが、肥料の混じっていないキレート鉄は意外と売っていない。
これ以上化学肥料を追加すると濃度障害を起こすかもしれないので、肥料に混ぜてあるのは危機感がある。
Webで調べていると、実はメネデールがキレート鉄だという。
何だ、キレート鉄ごときであんな高いのか、なんと言うぼったくり商売をしているんだ、
と思いつつとりあえず散布してみる。
翌日には一部の葉の色が良くなった。確かに即効性がある。しかし、一定以上は好転しない。
4月の始め、桜(近所のソメイヨシノ)よりも早く両端の石楠花が咲き始めた。
南の方は早咲きだが、北のは例年普通のはず。早過ぎる。
生理障害を起こしたか。と思ったが、公園などに行くと例年なら5月市初旬の開花の石楠花が結構咲いている。
どうやら今年は開花が早いようだ。逆に真ん中が咲かないのを危険に感じつつ、見守る。
葉の色は最初の変化から以降は好転しない。若い葉にしか効果が無いのかもしれないし、量が足りないのかもしれない。
キレート鉄を探してみたが、少量で販売している所が見つからない。
止む無く「微量要素8」を撒いてみる。
しかし、これは鉄以外の金属成分も沢山入っているので、濃度障害が怖くてあまり撒けない。
結果、葉の色はほとんど変わらなかった。
しかし馬鹿高いメネデールをこれ以上撒くのも業腹だ。
更に色々調べて行くと、「鉄力あぐり」と言うのを楽天で見つけたので、早速注文する。
pH測定したら、また6.5に戻っていた。手強い。もしかしたら「微量要素8」の影響か?。
サンドセットを更に2kg撒く(これで5kgを1袋撒いたことになる)。
撒いた直後はpH5.5〜6.2くらい。たっぷり水を撒いたから、じきに平均化されるだろう。
「鉄力あぐり」、「鉄力あくあ」が届く。
「鉄力あぐり」は500g入りで、1.5m2用とあるので、2袋ほぼ全部撒く
(100gくらいを他の庭領域に撒いたので、900gほど撒いたことになる)。
更に「鉄力あくあ」を5cc、4lの水に混ぜて葉面にかけた。
この時点では地表には水をかけなかったので、「鉄力あぐり」は無効なはずである。
翌日になっても葉の色は好転しない(むしろ日差しが明るくなって悪さが目立つようになった感じがする)。
新葉の緑が濃い気がするのは欲目か。
葉からの浸透はなさそうなので、「鉄力あぐり」を土に浸透させるため水をたっぷり撒く。
これで根から吸収されるはず。
少々濃度を濃くしすぎかとも思ったが、鉄だけなら濃度障害は起きないはずだ。
5月中旬、真ん中の花が咲く。これは遅過ぎる開花だ。最後のあがきか、あるいは復活したのか。
ともあれ咲き誇っているし花色も悪くない。
その後、古い葉の色は相変わらず悪いが、新しい葉がぐんぐん伸びてきた。どうやら峠を越したようだ。
それ以降は元気が良い、いや良過ぎる。最初の1年は1〜2か月毎に新芽が出る勢いでどんどん大きくなった。
その後はやや成長ペースが落ちた。


キレート鉄の自作

ところで、メネデールよりはずいぶん良心的とはいえ、鉄力あぐりもキレート鉄としては
まだかなり高価と言わざるを得ない。
何とか自分で作れないか、と考えたのが以下の方法である。

注:以下は空想工作です。実際に試していないので何が起こるか分かりません。砂鉄を使う際は塩害に要注意。

農業資材のゼオライト20kgに、クエン酸2kg、FeOを2kg、石膏500gを良くまぶす。
じょうろで水を加えながら(湿らせる程度)、かき混ぜる。
1昼夜寝かせる。

注:
FeOは酸化第一鉄または酸化鉄(II)と表現される。海岸の砂鉄にも20〜30%含まれているが、
比較的純度の高いものが釉薬として安く手に入る。
石膏は工作用で、クエン酸は台所などの洗浄用で販売されている。


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