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電池の動作メカニズム

実は色素増感太陽電池のメカニズムを理解して、はじめて溜飲が下がった気になったものが電池の原理で、
以下は電池の原理の自己流の理解に関する記事です。

理解できない原理説明

電池のメカニズムを調べると、金属のイオン化傾向とか金属の溶けやすさとかで説明しているものが多い。

これが理解できなかった。

まさか金属の溶液への拡散による自由エネルギーの放散などと言う微弱なエネルギーを源としているのではあるまい。
イオン化傾向とか金属の溶けやすさとかは、いずれも原子核と自由電子の引力の強さの差、
つまり自由電子のポテンシャルエネルギー(電位)の差を原因として説明するものであると思われる。
しかし、元素の違いによる原子核と自由電子の引力の強さの差からは電力は取り出せないはずである。
なぜなら、電力を取り出そうとして取り付ける電線も元素なので、電線との間にも電位差は発生し、
回路を一周した時の電位差が差引ゼロになるはずだからである。

自由電子に対する各元素の電位が固有である限り、どのような元素をどのように一巡するように接合しても、
1周の電位差の合計は必ずゼロである。
電流ゼロの状態で回路を一巡した時に電圧がないのでは電流は流れない。

電流値はその電圧がジュール熱発生による電圧と釣り合うことによって決まるのだから。
電流が流れないと電力は取り出せない。ただ帯電するだけである。
従って、この説明では電池は動作するはずがないと思うのである。

まず考えたのは、「水素原子が水素分子になる時に吐き出す電子により、一巡する間に電子の利得が生じることを利用している。
水素から奪った電子は返す必要がないから、水素の電位は幾らでも上げられる。」と考えた。
これも変である。「水素原子が水素分子になる」のも自由電子のポテンシャルの差によるものであるから、
電位の縛りからは逃れられるはずがない。

次に考えたのは、帯電したものとしていないものを選り分けて片方だけ取り除くという何らかのメカニズムが、
この一巡のどこかに働いている、ということである。
例えばH2がガスになって物理的機構で出ていくとかそういったことである。
しかし、実用化されている電池ではH2は酸素と化合させている。であれば電位の縛りからは逃れられない。

しかし、調べ方が悪いのか、太古に失われた知識なのか、幾ら調べても理由が分からなかった。
どこをどう調べても、ただただまるで当たり前であるかのように「イオン化傾向の強い金属が電子を出して溶けだす」
と繰り返すばかりである。
「じゃあ、アルミと銅は電子を引き付ける力が大きく違うよな、これを接合したものからは電力が取り出せるんかい。
アルミは電子を吐き出して、吐き出された電子はぐるりと一周して銅に行って、アルミに戻るんかい。
あんたの言っているのはそれと同じだろう。がぉー。」
と言いたくなるのである。
電子を引き付ける力だけを問題にするのであれば、間に溶液があるかどうかは関係ないはずである。
(イオン化傾向の差により電圧が発生することと、金属が溶けだして対極側にH2が発生することは説明できても、
その電圧を外部に取り出して電流を流すことは説明できない、ということ。
外部に持ち出そうとする電線との間にも金属間の電位差で電圧が発生して電池で発生した電圧を相殺してしまうので、
この説明では外部に電流は流れず、溶液内でイオンの移動と電子の授受が行われるだけとなる。)


自己流の解釈

で、色素増感太陽電池のメカニズムで「イオン間での電子の授受には時間が掛かる」ことにより整流作用が働くことを理解した。
これは電池にもそのまま当てはまりそうである。
イオン化傾向の強い金属(電気陰性度の低い金属)(A)は電子を引き付ける力が弱い。
そこで溶液中のイオン(B)から容易に電子を引きはがされてしまう。
ここで、この電子が溶液中のイオン(B)に渡ればそれでお仕舞、電流は流れない。
ところが、溶液中のイオン(B)は電子を引きつける引力は強いのに、実際に取り込むには時間が掛かるのである。
一方、元の金属(A)は、他の電極(C)と接しており、(C)の方が電子を引き付ける力が強いから
元の金属(A)の電子は、他の電極(C)の方に少しだけ引き寄せられて、(A)はプラスに帯電している。
このプラスの帯電により(A)は単独の金属の時よりも全体的に少しだけ電子を引き付ける力が強くなっている
((C)は(A)を介して電子を引き付けようとしている)。
溶液中のイオン(B)の方が他の電極(C)よりも電子を引き付ける力が強いにもかかわらず、
電子は中々溶液中のイオン(B)に行かないから、元の金属(A)から分かれた電子の大半は、
引きつける力は弱いが幾らでも受け入れる他の電極(C)の方に引き寄せられてしまう。
で、回路を通って逆の電極(C)の電位まで落ちてしまった電子は
運動エネルギーが落ちてもう溶液中のイオン(B)の電子軌道までは上がれないから、
より低い水素の電子軌道に渡される。
この、
「より電子を引き付ける力が弱い方に選択的に電子が移動する」
という電位の上下関係を破った電子の移動こそが電池の真のメカニズムであるに違いない。


補足:
亜鉛板(金属板)と銅イオン(金属イオン)では速度差が起こらないようで、
速度差を起こすためにボルタの電池では硫酸イオンを経由しているようです。
亜鉛板と硫酸イオンとの間には中間的な電子軌道状態による不可逆過程の入り組んだ複雑な迷路があるそうで、
速度が遅い理由に関してはそれほど単純な話ではなさそうです。
新しい電池というものは発明と言うよりは発見に近い地道で気の長い作業によって生まれる物なのでしょう。




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