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空想DIYを紹介するページです。


ウォータージェットカッターの自作

これは完全な空想工作です。実際には何も作っていません。

以下は、ウォータージェット用のポンプの自作について考察した記録からの抜粋です。

ウォータージェット(water jet)=ウォーターカッター (water cutter)、アクアジェット切断、アブレシブジェット加工

300MPa程に加圧された水を0.1mm〜1mmほどの小さい穴などを通して得られる細い水流に、砂を混ぜて切断する機械。
水流の速度は、多くの場合500〜800m/s程だが、マッハ3に達する高速なものもある。
300MPa(約3,000気圧)は水道水の約1,000倍の水圧。

まずは水道水の水圧増圧から考え始める

ホームページで調べた限り、各社のものはほとんど手作り状態で、個人でも作れそうである。
基本的構造はエアー増圧機と同じ。
比較的大きな内径のパイプ内を往復するプランジャーを作り、
このプランジャーの往復運動で内径の細いパイプ内のプランジャーを動かして水圧を作る。
小球のボールバルブ(逆止弁)でタンクで圧力を均一化する。
基本的にパイプ(円筒金属に穴を開けたもの)の両端を厚い板で塞ぐ構造。
高圧のセンサーを準備しなくとも、増圧前の圧力を制御すれば、概略増圧比倍の圧力を制御することが出来るだろう。
増圧前の圧力は、モータか油圧が一般的なようだが、作るなら水圧が扱いやすそうだ。
まず水圧での可能性について考察する。
仮に400MPa、4L/minのポンプを作るとする。
1次圧力を小型・高圧のベーン式水ポンプで作るとすると、吐出圧力1.4MPamax程度らしいので、
実用1MPaとすると、水道水の圧力(0.5MPa位らしい)と大差ない。
水道水の圧力をそのまま利用しよう。
大体1000倍の増圧となる。
仮に1次プランジャの内径を100mmにしたとして、√1000=31.6だから、2次プランジャは100/31.6=3mm径。
400MPaは4000kg/cm2なので、φ3mm=0.07cm2では283kg・・・これは座屈するだろう。

座屈について考える

円柱の断面2次モーメントは、Ix=(1/4)*π*r^4なので、直径=3mmとしてIx=3.796。
仮に長さ=100mm、として、鋼鉄のヤング率を20E+10[Pa]=20E+4[MPa]とすると、
座屈荷重は808.376 [kN]( ×0.10197 =82.4kg)なので、やはり283kgなら座屈する。

逆から(座屈しないためにどれだけ必要かから)計算しよう。
超硬ならヤング率=50〜60GPaなので、鋼鉄の2.5倍強。
以上の結果から、(安全率2倍はほとんど誤差なので無視するとして、)
鋼鉄やSUSでは、長さ50mmなら直径3mm以上、長さ100mmなら直径5.5mm以上が必要である。
超硬なら、3mmで80mmくらいが限界である。
超硬にしてもさほど変わらないので、SUSを使うとして、往復50mm、シリンダ長100mmとして
直径10mm位は欲しい感じである。
すると、1次シリンダ直径は316mmとなる。これは現実味がない・・・ということは、
水で1回の増圧で行うのは困難であるということ。
直径100mmから10mmに増圧するとして、面積比は100倍だから、1次圧力には40MPaが必要である。
高圧洗浄機でも6MPaくらいだから、水でこれを得るのは難しいのか。
であれば、増圧機を2段に出来ないか?。

必要な流量について考える

ちょっと別の方向から(必要な流量という側面から)考えてみる。
2次で4L/minとするには、1次には圧力比倍=面積比倍の流量が必要となる。
1000倍なら4000L/min必要で、これはあり得ない。
油圧なら、15MPa位は行けるだろうから、増圧率=27として108L/min・・・少なくはないがあり得ない数字でもない。
いずれにしても、増圧機を使う場合は、1次の流量が大きくなる。あまり個人の工作ではなくなる気がする。


シリンダーの動く速度について考える

4L/minを直径10mm、往復長50mmで行うには、シリンダ体積=3900mm3=3.9cm3だから、
4000/3.9=1025往復/minで、1025*50/60=854mm/sで速過ぎる。
直径30mm、往復長100mmなら4000/70.7=56.6往復/minなので56.6*100/60=94mm/sで、
まだやや速いが、これ以上遅くするとプランジャ(ピストン)が大きくなって、押す力が大きくなり過ぎるだろうから、
直径30mmあたりが手頃となる。
座屈限界は200mmくらいになりそうだ。
・・・いや、直径30mmのプランジャは厳しい。直径10mmのプランジャを9本の方がいいかも
・・・9本は作るのが面倒そうなので、やはり直径30mmか。
いずれにせよ、プランジャの移動速度が問題になりそうだから、ある程度加圧してから増圧という選択肢はなくなる。


モーターならどうだ?

モータを使う場合はどうだろうか?。
4000kg/cm2を直径30mmで押すには、4000/28.3=141kgf(1380N)必要となる。
M10ねじの軸力が1250kgf程度らしいので(2.5kgf・mで)141kgfなら2.8Nm、
サーボモータなら0.5kWで連続5Nmくらいなので、かなり小さなモータでも行けそうである。
外径24mm位のスラストベアリングでも耐荷重は1000kgfくらいなので、
141kgと言うのは機械的にはそれほど大きな値ではなさそう。
ボールネジで直径10mmならリード3mm以上で基本動定格荷重3000Nくらい。
サーボモータは1000〜2000RPMだから、仮に1000RPMとして、
100mm/sの速度を得るにはボールねじのリード(ピッチ)は0.1mm以上あれば良い計算だから、
一般的なリードが1mm以上なのでリード下限制限なし。
一方、サーボモータが5Nmとして、1380Nを得るにはリードは5000N・mm/1380N=3.6mm以下でなくてはならない。
つまり、0.5mWのモータにボールネジ直径10mmだとリードは3mm以上3.6mm以下と狭い。
どちらかと言えばモータが非力と言うことだろう。
モータを0.75〜1kWにしてリード4〜5mmというのが適当そうだ。

空想工作的には可能そうだ、という結論

目標性能:400MPa、4L/min
サーボモータ:0.75〜1kW
ボールネジ:直径10〜15mm、ピッチ4〜5mmを2本
プランジャ(ピストン):SUS、直径30mm、プランジャ部の長さ100mm、往復距離50mm
・・・直径40〜50mm、長さ250〜300mmのシャフトの両端を直径30mm、長さ100mmに削ってプランジャにする。
プランジャの先端40mmをパッキン用に直径20mmに削る
パッキン:外径30mm、内径20mm、長さ40mmのPTFEパイプ、
または外径30mm、内径20mm、長さ5mmくらいのPTFEパイプ数枚と間のスペーサ
・・・高そー!、ポリエチレンでがんばるべきか。
シリンダー:長さ100mm、直径70〜100mmの円柱SUSか1辺が70〜100mmの角柱SUSに、直径30mmの穴をあける。
この穴の精度となめらかさがキモ。ホーニング加工は必須だろう。
内側のきれいな薄いパイプを入手して穴に嵌め込むという手もある。ほとんどエンジンの加工。

少なくともシリンダーとプランジャーは業者に作ってもらわないと個人での加工は難しそう。
しかし、総コストは個人工作で全く手が届かないほどではなさそう。


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