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空想DIYを紹介するページです。


庭の砂岩の漂白

わざわざ章立てて書くほどの内容でもないのですが、予想以上にうまくいったうれしさに、書いてしまいました。

私の庭にはコッツランドストーンやインド砂岩を使っている部分があります。どちらも砂岩です。
もちろん英国やインドと異なり、より風化しやすい条件(湿潤+冷凍)の整った日本なので、
吸水性の低いものは選んであります。
しかし、所詮は砂岩、日本の風土ではすぐにかびて黒くなります。
侘び錆びを狙った庭なら風情と言うものでしょうが、
蜂蜜色の明るい庭を想定したデザインの中ではやはり陰気な感じは拭えない。
そこで、原状復帰させることにしました。
方法には幾つか考えられます。

1.かびを剥離する。例えばサンドブラスターとか、高圧水とか、界面活性剤とか、溶剤とか。
2.還元する。この場合はかびを加水分解すると言うべきでしょうか。
3.17族元素で電子を束縛して励起波長を紫外域に移動し、可視光域で透明化する(つまり漂白する)。
4.16族元素で電子を束縛して励起波長を紫外域に移動し、可視光域で透明化する(つまり酸化する)。

まあ、16族と17族で酸化と漂白の言葉の使い分けに意味はあるのかといった論議はさておいて、
予測される効果と植物への影響から3.を選択しました。
漂白と言えば通常は、次亜塩素酸ナトリウムを用います。
いわゆる花王のハイターとか、ジョンソンのカビキラーとかの成分ですね。
これは塩素や酸素を遊離して塩化ナトリウムとなり、塩化ナトリウムは水溶性なので水に流される、と言うものです。
まあ、金属表面でもなければ酸素は遊離してもほとんど活性化(ラジカル化)されないでしょうから、
有効成分は塩素となるでしょう。
しかし、植物に塩化ナトリウム(食塩)はよろしくない。植物は第1族元素がカリウムリッチの生き物ですから。
そこで、次亜塩素酸カルシウムを使うことにしました。プールに沈んでいる白いタブレットのあれですね。
ゆっくりと塩素を遊離して水酸化カルシウムになります。
水酸化カルシウムは水への溶解性が低いし、土壌のpH変化さえ気を付ければ植物への害が比較的少ないと期待されます。
次亜塩素酸カルシウム自体がなかなか水に溶けないので、公衆浴場などに使われている粒の小さめのタイプにしました。
風通しと日当たりの良い日を選んで、水溶液を石に塗ります。
で、日光を当ててのんびり待ちます。
塩素は1価なので2価の酸素と違って比較的低いエネルギーで解離しますから、
太陽光でラジカル(この場合は単原子)となって漂白効果が高まります。
後には白い粉状のものが残るので、水で洗い流します。
結果はこの通り。
比較のため部分的に(写真の左の石だけ)漂白してみました。
写真の部分は特別かびがひどい場所だったのですが、それでも1回の漂白でこれくらいきれいになりました。
塗って、待って、洗い流しただけです。ブラシは掛けていません。
(実はこんなにきれいになるとは思っておらず、試しに一部をやってみたら強烈に効果があったので、
つい勢いで前洗浄せずにどんどこ塗り広げてしまいました。)



毎日暑くて適いませんが、これは日差しの強い夏にぴったりの仕事です。お試しあれ。
(自分は暑いのが苦手なので、暑くなる前の季節にやったんですが・・・。)

注:
風通しの悪い場所ではお避け下さい。
ゆっくりとは言え塩素が充満して来ますので、体によくないに違いありません。
水泳部員よろしく髪がブリーチされてしまうかもしれません。
また、次亜塩素酸カルシウムは減菌剤(あるいは食品添加物の酸化剤)として売られているものですが、
いわゆる塩素系漂白剤でもありますから、もちろん高濃度では「混ぜるな危険」です。
塩酸は良く知られていますが、高濃度のアルコール類も混ぜてはいけません。水だけで薄めて塗りましょう。
余った液はハイポで塩素を安定化させてから大量の水に薄めて廃棄しましょう。

2013-8/16





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