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空想DIYを紹介するページです。


土留めのこと

公開しようとして、忘れてしまってました。
大した内容ではありませんが、昔やった数少ない土木的工作の記録ということで公開します。
話が中途半端な気もしますが、追記推敲する気力も写真を探す気力もありませんので、そのままということで。


舗装されていない道の横に水が僅かに流れている(土だけで作られた)溝があり、
大雨で道に水が流れ、斜面に溢れ、土手の土砂を溝に洗い流してしまった。
と言う状況があって、公共の道とは言え、その道より先には地方自治体にすぐに直してもらえたり、
一部負担して順番を早めてもらったりする程の利用価値がなく
(いわゆる、木材の利益を夢見て木を育てたが、結局は国のために無償の治水労働をやってあげただけで
一円にもならなかったとぼやかれているような類の山林しかない場所)、
当面は自前で応急処置をしなければならない。
これを重機やコンクリを使わずに何とかする、という話である。
都市部に暮らしている限りはまず縁のない話だろうが、田舎では良く遭遇する状況である。
問題は、比較的荒めの真砂土土壌で、溝までの土手の高さが4m位あって、十分な傾斜をとるスペースがない、
という状況である。
田舎に根付いて暮らしている人はもっとうまい方法をお持ちだろうから、
これは工作情報としてはあまり意味がないと思われる。まあ、都会の人に向けた読み物程度に思って頂きたい。

1.土砂の問題
通常、土で作った土手は雑草や灌木の根で強度が保たれるが、土砂崩れを起こした部分にはこれがない。
新しい根がある程度十分な強度を形成するには少なくとも半年は掛かる。
そして、日本は半年も雨が降らないことはまずない(あっても困るが)。
従って、当分は人工的に強度を作る必要がある。
土には色々な種類があるが、日本で比較的多いものに花崗岩が風化した真砂土がある。
古生層の土と違って比較的荒めで扱いやすいので、表土を真砂土に置き換えることも多い。
この真砂土にも荒さの程度があり、荒さによって特性が大きく異なる。
一戸建てを建てた人にはお分かりだろうが、地盤に使う真砂土と庭に使う真砂土では荒さが全く異なる。
雨降って地固まるというのは目の細かい真砂土の話しであって、砂礫状態の荒い真砂土は禄に固まりはしない。
宅地の地面が真砂土だからと言ってそのまま庭土の主成分にしたりすると、
少しやせさせただけですぐに固くなって、とても扱い難い土になる。
庭の部分は、庭用(畑用?)の荒い真砂土に入れ替える必要がある。
で、問題の場所は、まさに庭に最適の荒い真砂土だった訳である。
つまり、一雨来れば固まるという訳にはいかない。
一雨来れば再度崩落する。

2.傾斜の問題
土砂は互いにある程度の摩擦と重さがあって、その結果土手はどのようにでも崩れるというものでもない。
土砂内の、とあるすべり面に沿って崩れる。
従って、摩擦を減らさず、重さを増やさず、かつこのすべり面で滑らないようにすれば土手は崩れない。
水を含むと摩擦が減って、重さが増えるので滑りやすくなるが、
ブルーシートなどで覆ったのでは雑草が生えないので、ごく短期間の応急処置にしかならない。
また、すべり面で滑らないようにするには、傾斜を緩くするのと、
比較的少ない力で滑り始めを抑制するように、土手の最下端に重いものを置く
(コンクリで固めるとか、網に入れたぐり石を置くとか)
のがセオリーである。

3.どうしたか
本来は仮工事用で、長期耐久性は無いフレコン土のうを使って芯を作り、土のうで概略形状を作り、土をかぶせた。
雨が降って濡れるだけなら何とか耐えそうだが、雨が流れると崩れそうなので、道をやや高めに逆傾斜にして、
元々の溝とは反対側に溝を作って、崩れていない部分まで排水した。
ポイントは、フレコンや土のうは紫外線が当たらなければかなり長寿命だということと、
じわじわ寿命が来れば雑草(の根)に置き換わるだろうということ。
荒い真砂土でも、袋で小分けすれば崩落面が出来ず崩れ難いということ。
で、言葉にすればこれだけのことだが、土砂崩れした部分に重機なしで土でいっぱいのフレコンを並べるのは簡単ではない。
直接土を放り込む足場は無いし、足場を作るのも大変だし、コンクリートシューターは意外と高価である。
そこでまずやったのは土のう作り。数百個の土のうを作る。
で、空のフレコンを置いて、これに土のうを運び込む。
ひたすらこれの繰り返し。
・・・素直に重機借りて来た方が良かったかも。
ちなみに、重機は雇われて作業するには免許が要るが、自分の土地で自分で作業する分には免許は要らない
(例え怪我しても自己責任だから)。
ただ、借り賃自体はレンタカー程度なのだが、運んでもらうと人件費でいきなり高くつく。
知り合いに運んでくれる人がいないと、かなりの出費になる。
結局は崩れたまま放置して、自治体に直してもらえるまで待つのが正解だったのかもしれない。

4.後日談
道の先に山林を持っている人が、重機を使って土手の溝側に廃材のコンクリ板を並べて、更に完璧に仕上げてくれました。
儲かりもしないだろうに、この奉仕精神には脱帽。日本の治水はこうやって守られているのね。


ちなみに、土手の崩落の後処理というのはこれ以降にも何度かあって、
村道の崩落だと直接利害のある個人が何とかするしかないのだということも認識して、
当時エンジンオーガーを購入しました。
土手の下端に穴を空けて、丸太を縦に埋め込み、これを柱に土手の内側に丸太を横置きし、
内側にジオシート?を掛けてから、土を放り込む、という方式で、
見た目は劣りましたが、上記の記事の方法より圧倒的に楽でした。

2013-8/16




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